バス車内にて

街のあちこちで新社会人を見かけるようになりました。新人研修会の帰りでしょうか、大きな鞄を肩に新しい環境にちょっと疲れた表情で電車に乗り込む後姿に、ささやかながらエールを送る今日この頃です。

先日、とある大学病院に向かうバスに乗る機会がありました。電車を降りて目的のバス停まで行くと、中年サラリーマン風の男女7、8人が列の先頭付近で、バスを待つ行列とは別に集団を形成しています。

どうやら同じバスに乗るらしいのですが、いざバスが到着すると列に並んだ人々が先に乗車するのを待って、発車直前に全員が乗り込みました。そこそこバスは混んでいましたから座席はいっぱいです。

サラリーマン風の7、8人は吊革につかまりながら談笑していましたが、その頃になってようやく自分も気付きました。バスは終点の大学病院と最寄り駅を10分間隔で往復するだけの定期便でしたから、当然そのバスには患者さんが主に乗車するはずです…。彼等は途中にある大手電気メーカーの研究所で下車していきましたが、スーツ姿にビジネスバッグを抱え笑いながら、過ぎ去るバスに目もくれない姿にちょっと「やられた…」という思いがいたしました。

自分達の業界から一歩出た「社会」の中でもさりげなく、何気なくそして当り前のように細かな気配りが出来るようになりたいと思った光景でした。