口承伝承

昔、静岡へ帰省していたおりのこと。暖かい気候とのんびりムードに、少々気晴らしをしたくなって出かけた本屋で「アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」という本を衝動買い。読み返したい一節にはページの端を折り曲げる癖のある私ですが、ほぼ2~3ページ置きに三角印が入る羽目になってしまいました。「頭でなく、こころで学ぶ。」「覚えても学んだとは限らない。」「わかったと思う前に、もう一度よく考えてみる。」「間違うことで学ぶことも恐れない。」 こうした教えを師は弟子に、その成長過程で大切なタイミングを見計らい、そしてその機会を逃さずに諭してきたようです。文字で伝わる伝承は、受け手の主観や感情によって真意が伝わりにくいこともある、ということもあるのでしょう。彼らの文化はそうした目的があって書物ではなく言葉で伝授されてきたようにも思います。私たちの日本でも本当の奥義は口承伝承で伝えられてきたという話も耳にします。相手の階層によって話を自在に変えられるという心構えも必要なのかもしれませんね。(S)