慢心と満心

「慢心」とは何かと聞くと「奢りたかぶること」「謙虚さを失うこと」と誰でもすぐに答えることが出来ます。通常は「~しない」と否定的な言い回しをして、自分を戒める意味合いで使うことが多いですね。

この「慢心」を「満心」と敢えて書くのが中江藤樹

「満心」=「心を一つの事でいっぱいに満たすこと」

例えば、朝ささいなことで家人と喧嘩をしたとします。通勤の時間も、仕事の時間も、そのイライラが頭を離れません。喧嘩の原因のみならず、日頃溜まった鬱滞までが付随して思い起こされ、文字通り「心が一つのことで満たされて」しまいます。

こんな時、ちょっとだけ「あ、今私は頭が一つのことでいっぱいになっているな」「ちょっとそこから離れてみよう」と、満たしてしまった心を解放してみます。

するとどうでしょう。他の事に意識が向き、それに夢中になっているうちに「いっぱいになってしまった出来事」が「大したことではない」ことに気がついてきます。

「不安」や「心配事」で心がいっぱいになってしまうことも少なからず誰でも経験します。これもまた「満心」。ちょっとだけそこから離れてみれば、その「不安」や「心配事」が「ちょっとだけどうでもよくなり」、負のスパイラルから抜け出せるように思います。

そうは言っても、「渦中にあればそれどころではない、綺麗事を言うな」とお叱りを受けそうですが、「そこから離れてみること」すなわち「自分を客観視」してみるだけでもいいと思うのです。「あ、自分は今、一つのことで頭がいっぱいだな(満心しているな)」と。

そんな時には大きく息を吸って、一気に吐き出しましょう。きっと肩の力も抜けるはず。

次回は「息を吸う(引く)」と「息を吐く(突く)」お話をしたいと思います。