車窓

最近車の利用が多くなり、列車で旅をするなんてことが、てんでなくなりました。車は車で楽しいのですが、列車はまた違ったウキウキ感があります。列車と言えば学生時代の帰省列車が一番思い出深いでしょうか?

 学校生活は朝から晩までぎっちりカリキュラムが組まれていましたので、時間的制約からアルバイトはできず、当然田舎からの仕送りは毎月窮々で、私は文字通りの貧乏学生でした。そんな貧乏学生も盆、正月は特別です。増額される帰省のための新幹線代、これを見逃す手はありません。 親にしてみれば、かわいい息子(?)との一年にたった2回のご対面です。数週間前から電話で「何日に帰るんだね?」「何時の新幹線に乗るんだね?」と、しつこい位に質問攻めです。

 親心、子知らず。当の本人はすっかり8月、12月は普段よりお金持ちになった気分で悪い友達と夜遊びにふけっていました。私の田舎は東京から鈍行に乗れば4時間半で帰ることができる、静岡の焼津という小さな港町でしたから、新幹線特急料金がなくなれば鈍行に飛び乗ってのんびりと車窓を眺めながら小旅行気分というのも、それはそれで楽しいものでした。安部川を過ぎて海岸沿いを、列車が海の匂いでいっぱいにする頃、4時間半の旅が終わりです。「せっかく新幹線に乗るんだったら、もっと早い時間のに乗れば良いのに。」すっかり硬いシートでガチゴチに痛くなったお尻をさすりながら、言い訳を考える駅前通り商店街は、 ちょっぴりノスタルジックな気分がいつも漂っていました。

寒空の合間の青空に包まれた今日一日。もうしばらくで桜の季節です!

スモールデリラボ