口伝

今から遡る事15年ほど前、「アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉」という本を衝動買いしたことがあります。読み返したい一節にはページの端を折り曲げる癖のある私ですが、ほぼ2~3ページ置きに三角印が入る羽目になってしまいました。「頭でなく、こころで学ぶ。」「覚えても学んだとは限らない。」「わかったと思う前に、もう一度よく考えてみる。」「間違うことで学ぶことを恐れない。」 こうした教えを師は弟子に、その成長過程で大切なタイミングを見計らい、そしてその機会を逃さずに言葉で諭してきたようです。文字になったものは読み手の心境に依って本筋が必ずしも正確には伝わらないという意味もあるでしょう。彼らの文化は、そうした目的があって書物ではなく言葉で伝授されてきたのだと思います。日本でも意外と大事なことの多くは口伝で引き継がれてきているものです。


スモールデリラボ