鰹節

小田原へ足を運んだときに偶然見つけた老舗の素敵な鰹節屋さん。今回はそこで聞いた、日本が誇る世界で一番固い食べ物「鰹節」の小話を一つ。アミノ酸含有量も高く健康食としても名高い鰹節ですが、表面に白い粉がふいているものが上物。製造工程において鰹は3枚におろされた後、さらに背節と腹節に分けられます。これを「煮て」「冷やして」「燻して」「乾燥させて」その都度染み出てくる脂を削り取り、さらにまた天日で乾燥し「カビ付け」をします。このカビが白い粉の正体なのですが、なんとこの「カビ付け」を3~4回も重ねてようやくあの鰹節が出来上がり。もとの大きさから比べると約10分の一ほどになってしまうところを見ても、乾燥によって硬さと旨味が増しているのがよくわかります。前述の「背節と腹節」は別名「雄節と雌節」とも言われ、前者はあっさり味、後者はふっくら味になるとのこと。料理の種類によって使い分けるのが通。かつてこの国が男性社会だった時代には、わざわざ雌節に比べ雄節に高値をつけさせられたといいますが、女性の社会進出に伴い今では同価格になったという話も、また老舗ながらの年輪を感じさせられる興味深い話でありました。