予測できない中で

今はもう東大の解剖学教室を自主退職された養老孟司氏が、あるコラムでこんなことを語っていました。

「人間には知識欲というのがありますが、あれはいたって動物的な本能なんですね。1分1秒後先に何が起こるかわからない環境では、できるかぎり情報を収集して先を予測しなくてはならない。ましてや命にかかわることならなおさら。現代は管理社会と言われて久しいですが、同じような話だと思います。都市はその最たる例で、沢山の人間が秩序ある生活を維持するためには、予測できない事態があっては困るわけです。人間が一番厄介ですから、これを管理し予測可能にしようとする。」

時間通りに来る電車、街角に必ずある自動販売機、どこでもつながる携帯電話など、私たちは「予測可能」の中にいつの間にか囲まれて生活しています。しかし、たまには予測できない環境の中に自身を置いて、その時その場で自分が何を判断し、そして行動に移すのかを客観的に確かめてみるのも面白いかもしれません。

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