盲導犬からの御礼

かれこれ14,5年前のこと、近所に買い物に出かけたときの出来事です。以前からよく見かけてはいたのですが、おそらく近所に住んでいらっしゃる視覚障害者のご婦人が、いつものようにラブラドールの盲導犬と一緒に通りの向こうを歩いておられました。盲導犬を見かけたときにはどんなに愛らしい顔をしていても、こちらから撫でたり話しかけたりしてはいけないのがルール。当時我が家にいた黒ラブと本当に同じ犬種?と思わせる程、訓練が行き届いていて、そのときも遠くから微笑ましく眺めていたのですが、道の向こう側を歩いていたそのご婦人が私達の渡り始めた横断歩道の向こう側で、一旦犬を座らせて青信号になったにもかかわらず信号機の様子を伺っています。

「青信号ですけど渡られますか?」渡りきった私達が思わずご婦人に声をかけたところ「どうもありがとうございます」とお辞儀をされ、私達が今来た横断歩道をしっかりした足取りで渡って行かれました。危険の無いよう最後まで見送っていた私達に、歩道を渡りきった直後振り向いたその盲導犬の顔が「どうもありがとう」と言っているようで、なんだかとても心温まる一瞬でした。

(我が家にいたやんちゃ坊主とは大違い…。苦笑)